思春期外来について
思春期は、小学校高学年頃から高校生頃にかけて、心と身体が子どもから大人へと大きく成長する大切な時期です。女性ホルモンの分泌が始まることで、身体の変化だけでなく、気分の揺れや考え方の変化など、心にもさまざまな影響が現れます。
この時期に婦人科を受診することに、戸惑いや不安を感じる方も少なくありません。しかし、婦人科は妊娠や出産だけを診る場所ではなく、月経に関する悩み、成長過程での体調変化、女性特有の症状や病気を専門的に診療する診療科です。
思春期はとても繊細で、不安や疑問を抱えやすい時期です。「人には相談しにくい」「こんなことで受診していいのかわからない」と感じる悩みを一人で抱えてしまうことも少なくありません。
当院の思春期外来では、症状がある場合はもちろん、気になることや不安なことを気軽に相談していただける場を大切にしています。
ご本人だけでの受診はもちろん、保護者の方と一緒の受診も可能です。
少しでも気になることがありましたら、どうぞ安心してご相談ください。
思春期外来でよくあるご相談
思春期外来では、以下のようなお悩みで多くの方が受診されています。
- 生理がなかなか始まらない、来ない
- 生理周期が不規則、毎月安定しない
- 生理痛が強く、学校生活に支障がある
- 出血量が多い、貧血が心配
- 生理前後のイライラや気分の落ち込みが強い
- おりものの量・色・においが気になる
- 下腹部痛が続いている
- 身体の成長や女性らしい変化についての不安
- 性に関する疑問や不安
「病気かどうかわからない」「誰に相談したらいいかわからない」と感じる内容でも構いません。早めに相談することで、不安が解消されたり、必要に応じた適切な治療や生活アドバイスを受けることができます。
月経異常
月経異常とは、生理の周期・期間・出血量・痛みなどが、年齢や成長段階に見合わない状態を指します。思春期は、脳と卵巣をつなぐホルモンの調整機能がまだ未熟なため、月経異常が起こりやすい時期です。生理が不規則であったり、出血量が多い・少ない、生理痛が強いなどの症状がみられることがあります。
多くは成長過程で自然に安定していきますが、強い痛みや貧血、学校生活に支障が出る場合、背景にホルモン異常や婦人科疾患が隠れていることもあります。将来の健康や妊娠に影響するケースもあるため、気になる症状がある場合は早めの受診が大切です。
月経不順
月経不順とは、生理周期が一定せず、早く来たり遅れたりする状態を指します。思春期では、排卵が安定していない「無排卵周期」が多く、月経不順は珍しいことではありません。ストレス、体重の急激な変化、過度な運動、睡眠不足なども影響します。
通常は成長とともに自然に整っていきますが、長期間にわたって周期が極端に乱れる場合や、数か月生理が来ない状態が続く場合には、ホルモンの評価が必要になることがあります。
月経移動
月経移動とは、修学旅行や受験、スポーツ大会などの大切な予定に合わせて、生理の時期を調整することです。医師の管理のもと、ホルモン剤を短期間使用することで安全に行うことができます。
初経後間もない時期でも、体調や成長段階を考慮しながら対応が可能な場合があります。「生理が重なりそうで不安」「大切な行事を安心して過ごしたい」といった場合も、早めにご相談ください。
早発思春期
早発思春期とは、一般的な年齢よりも早く思春期の変化が始まる状態です。目安として、8歳未満で乳房の発育が始まる、10歳未満で生理が来る場合などが該当します。身長の伸びが早く止まってしまう、精神的な成熟が追いつかないといった問題が生じることもあります。
原因として、体質的なもののほか、ホルモン分泌の異常や脳・卵巣の疾患が関与している場合もあり、慎重な評価が必要です。
遅発思春期
遅発思春期とは、思春期の変化がなかなか始まらない状態を指します。13歳を過ぎても乳房の発育がみられない、15歳を過ぎても初経がない場合などが目安となります。体質による場合もありますが、栄養状態、過度な運動、ホルモン異常、染色体異常などが関係していることもあります。
成長や将来の健康に関わるため、必要に応じて検査や経過観察を行います。
思春期女子の無月経
無月経とは、生理が来ない状態を指します。思春期では、以下のように分類されます。
原発性無月経:15歳を過ぎても一度も生理が来たことがない
続発性無月経:一度生理が来た後、3か月以上生理が止まっている
原因として、ホルモンバランスの乱れ、過度なダイエットや運動、ストレス、体重減少、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが挙げられます。無月経が続くと、将来的に骨密度の低下や不妊につながる可能性もあります。
「まだ若いから大丈夫」と放置せず、原因を確認し、必要に応じた治療や生活指導を行うことが大切です。
子宮頸がん予防について
子宮頸がんは、主に性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因で発症するがんです。HPVは性交渉を経験した多くの方が一度は感染するとされる身近なウイルスですが、その多くは自然に排除されます。一方で、感染が長期間持続すると、子宮頸部異形成(前がん病変)を経て、子宮頸がんへ進行することがあります。
子宮頸がんは、ワクチン接種と定期的な検診によって予防が可能ながんです。HPVワクチンは、がんの原因となる高リスク型HPVへの感染を防ぐ効果があり、初めての性交渉前に接種することで、より高い予防効果が期待できます。また、すでに性交渉の経験がある場合でも、ワクチン接種には一定の予防効果があります。
さらに、20歳以上の方は定期的な子宮頸がん検診を受けることが重要です。検診によって異形成やがんの初期段階で発見できれば、身体への負担を抑えた治療が可能になります。自覚症状がないうちから予防と早期発見を心がけることが、ご自身の将来の健康を守ることにつながります。
HPVワクチンについて
HPVワクチンは、子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチンです。子宮頸がんはワクチンと定期検診の両方によって予防できる数少ないがんであり、将来の健康を守るために非常に重要な予防手段とされています。ワクチンに関する不安や疑問がある場合は、無理に接種を進めることはありません。十分な説明を行ったうえで、納得して接種を受けていただけるようサポートしています。お気軽にご相談ください。
接種時期について
HPVワクチンは、初めての性交渉前に接種することで最も高い予防効果が得られます。このため、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種が行われています。
すでに性交渉の経験がある場合でも、感染していないHPV型に対しては予防効果が期待できるため、接種を受ける意義があります。年齢や接種歴によって接種回数やスケジュールが異なりますので、医師と相談のうえ適切な時期に接種を行いましょう。
副反応について
HPVワクチン接種後には、他のワクチンと同様に副反応が起こることがあります。最も多いのは、注射部位の痛み・腫れ・赤みで、通常は数日以内に自然に軽快します。また、発熱、だるさ、頭痛、筋肉痛などの全身症状がみられることもありますが、多くは一時的なものです。
思春期外来の診察について
思春期外来では、年齢や症状、精神的な負担に十分配慮した診療を行っています。
問診を中心に、症状やお悩みを丁寧にお伺いします。必要のない内診は行いません。
超音波検査や血液検査も、必要な場合のみご説明の上で実施します。
無理のない治療方針を一緒に考えていきます。
「婦人科=内診が必ずある」というイメージをお持ちの方も多いですが、思春期の診療では内診を行わないケースがほとんどです。安心して受診してください。
保護者の方へ
思春期は、身体の変化だけでなく、心も大きく揺れ動く時期です。
お子さまご本人が不安や悩みを言葉にできず、一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。
当院では、
- お子さまの気持ちを尊重した診療
- 必要に応じて保護者の方への丁寧なご説明
- 将来を見据えた体と心のケア
を大切にしています。
ご本人のみの診察、保護者の方同席での診察、どちらも可能です。
「一度専門家に相談してみたい」「成長の過程として問題がないか確認したい」
そのような理由での受診も歓迎しています。
思春期のお悩みは、早めに相談することで安心につながることが多くあります。
お子さまが安心して大人への一歩を踏み出せるよう、やさしくサポートいたします。

